048 | 財政審、「教員増必要ない、IT(情報技術)化の推進」を要求 | |
【1】 | 教え子の先生から「IT(情報技術)化の推進」とは何?と意見を求められ | |
1 | 今朝、朝日新聞の記事を読んだ教え子の先生から、メールが届きました。 朝日の記事には、財政審が「子供の減少に伴い児童生徒1人当たりの教職員数は増加している」こと を根拠に現状でも対応可能で、むしろ会議の工夫や「IT(情報技術)化の推進などを求めている」とあり ました(資料1)。 急遽、完成してた「指導者と井の中の蛙(1)」のアップを延期して、この問題に回答したいと思います。 | |
2 | 私は在職中から、「情報を共有できない企業はつぶれる」というが、学校でも同じだとして、先生や生 徒に情報の共有化(教材の共有化や会議資料のLAN化など)を力説し、実践してきました。 そのことを彼は記憶していたのです。 「IT(情報技術)化の推進」とは具体的にどういうことですかと、意見を求められました。 | |
【2】 | 「米百俵」と「教育は百年の計にあり」(この背景色はgold、文字色はblackです) | |
1 | 私は、教育にお金は必要だと思っています。 2001(平成13)年5月7日、小泉純一郎首相が所信表明演説で取り上げたことで、長岡藩の「米百俵」は 有名になりました。 佐久間象山の門下生であった小林虎三郎は、故郷に帰り、その焼け野原に、「国や町が栄えるのは人に ある。食えないからこそ、学校を建て、人物を養成するのだ」という信念で国漢学校を開校しました。 国漢学校から東京帝国大学総長の小野塚喜平次、解剖学の医学博士の小金井良精、司法大臣の小原 直、海軍の山本五十六元帥らが輩出しました(資料2)。 | |
2 | 教育にお金を惜しんでは、国家の損失になります。 そういう意味では、米百俵の精神を理解しない財政審の意見書原案には反対です。 | |
【3】 | 教員増と学校や先生の創意工夫も必要(この背景色はorangered色です) | |
1 | と同時に、学校や先生方の創意工夫も必要です。 高校では、教務部や進路指導部など膨大な情報を処理する分野では分業と協業による情報の共有化が 実現しています。しかし、色々な会議に応用するとか、教科間とか学校の枠を越えた発想での共有化は、こ れからです。 先日、創立80周年記念日に出席しました。情報の共有化の話をすると、「○○(私の名前)さんの言うこと は10年も早い」という現役の校長(元同僚)が何人もいました。 私から言うと「10年も遅い」と思っているだけに、財政審の提案に全く同感です。 ただ、「IT(情報技術)化の推進」と言っても、どこまでイメージ化できるでしょうか。 | |
2 | 私の提案は、単純です。情報を共有化すればいいのです。 情報の共有とは、学校で使う資料をデジタル化して、ホストコンピュータに入れ、ある条件下で、誰でもが どんな状況下で、利用・使用できるということです。教務部や進路指導部で実現しているノウハウを色々な分 野に応用すればいいのです。身近に触れることが出来ない場合、どうすればいいのでしょうか。 (1)詳細は、次回に譲るとして、日本史の史料が1000点あります。1人でデジタル・リンク化するには膨大な 時間と労力が必要です。これを10人ですれば、時間と労力は10分の1になります。膨大な時間が浮きます。 (2)この技術・方法は会議などにも応用できます。ここでも時間や労力の節約ができます。 (3)この技術・方法は授業などにも応用できます。「チョーク&トーク」から脱して、先端技術を身につけた魅 力ある先生の誕生です。不登校対策にも威力を発揮します。 | |
3 | 能率的・効果的に情報を共有するためには、分業と協業が必要です。 分業と協業には、色々な約束事や技術が必要です。 | |
4 | つまり、情報の共有には、分業と協業が必要だということです。 | |
【4】 | 資料の紹介(この背景色はviolet色です) | |
1 | (資料1) 小泉首相は、米を与える方(政府)が「将来のために」と(国民に)我慢させて使わせないという趣旨で、米 百俵を引用しましたが、本当は米をもらった方が将来のために我慢して使わないという趣旨です。 1869(明治2)年5月、佐久間象山の門下生であった小林虎三郎(戊辰戦争の時、長岡藩の参戦に反対) は、故郷に帰り、その焼け野原に、「国や町が栄えるのは人にある。食えないからこそ、学校を建て、人物を 養成するのだ」という信念で国漢学校を開校しました。 1870(明治3)年5月、長岡藩は財政難で、日に3度の粥も食べられないないほど、困窮していました。こ れを知った支藩の三根山藩は、見舞いと称して米百俵を送りました。それは、のどから手が出るような米でし た。その時、長岡藩の大参事である小林虎三郎は、「この米を、1日か2日で食いつぶしてあとに何が残るの だ。この百俵は、今でこそただの百俵だが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」と訴え、米百俵の 代金を、自分の国漢学校の書籍・器具の購入にあてました。この時代なら出来たことで、現在なら、自分の経 営する私立学校に、公費を横流ししたとして大問題になる所業です。 6月、国漢学校の新校舎が開校し、町人や農民の子弟も入学が認められました。ここの卒業生には、東京 帝国大学総長の小野塚喜平次、解剖学の医学博士の小金井良精、司法大臣の小原直、海軍の山本五十 六元帥らが輩出しました。 | |
2 | (資料2) 「教員増「必要ない」 財政審、意見書原案で 政府の08年度予算編成に向けた財政制度等審議会(財務相の諮問機関、西室泰三会長)の意見書 (建 議)原案が12日、明らかになった。文部科学省が求める小中学校教職員約2万1千人の増員について、「必 要な状況にはない」として認めない姿勢を打ち出している。増員要求は与党内にも根強く、年末にかけ焦点の ひとつになりそうだ。 意見書は財政審が19日にまとめるが、財務省が作成に深くかかわり、予算編成に向け た同省の考え方が示される。 文科省は夏の概算要求で、教職員が子供と向き合う時間を増やす必要があ るとして、08年度からの3年で教員を増員するよう求めた。だが、財務省は、06年7月に閣議決定した「骨太の 方針匹で、「教職員の定数については5年間で1万人程度の純減を確保する」と定めを」とを根拠に、難色を示 してきた。 意見書の原案は、子供の減少に伴い児童生徒1人当たりの教職員数は増加しているなどとして、 「現状でも対応可能だ」と指摘。授業以外の会議などで教師の事務負担が重くなっていることが問題だとして、 校長や教頭の組織運営力強化やIT(情報技術)化の推進などを求めている。 (2007年11月13日付け朝日新聞)」 | |
【5】 | 次回から、分業と協業の実践例を報告します(この背景色はlightblue色です) |