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053 ネットとケータイの功罪(1)
ケータイの問題点
 私は、携帯電話の契約数が1億件を超え、必需品になっている携帯電話を持っていません。
 持っていない理由には、2つあります。
(1)携帯電話の料金が「異常」に高い。
  3分の通話料 内接続料
携帯電話 45円 32.4円
固定電話 10円 4.7円
写真(1)
写真(1)は、携帯電話の接続料と通話料の例(朝日新聞より)
 朝日新聞(2009年1月8日)は、「携帯通話料 値下げへ」「総務省 接続料算定見直し」と題して、次のような記事を掲載しています。携帯電話の料金が「異常」に高い理由を指摘しています。
 携帯電話回線を利用する企業が携帯会社に支払う”接続料”の引き下げにつながる制度改正に、総務省が乗り出す方針を固めた。携帯電話の音声回線の接続料は固定電話より7倍以上高く、通話料金が高止まりしている理由のひとつになっている。
 A社の携帯からB社の携帯に電話すると、途中からB社の回線網を利用するため、A社はB社に対して通話時間に応じた接続料を支払う。接続料金は各社で異なるが、3分で35円前後。通話料金はこれに自社のコストや利益を上乗せした額になる。
 一方、NTTがほぼ独占する固定電話は、擦続料の算定方法が厳格に定められており、現在は3分で4.7円と、携帯電話の7分の1以下だ。
 総務省の07年の調査によると、東京の1分あたりの通話料はニューヨークの3倍、ソウルの2倍だった。
 トヨタ自動車ですら、08年度決算は営業赤字を見込んでいる。携帯トップのNTTドコモは08年度決算で8000億円を超す営業利益を見込む。「もうけ過ぎ」との不満は利用者にくすぶる。
(2)自由な心を束縛する(以下の内容は、私が行った防犯委員会での講演会資料です)。
【1】ケータイの罪
(1)実態
@ 親が子どもにケータイを持たせる理由(皆が乗っている、安全面、ネット時代)
A 子どもが使うケータイの機能ベスト5(メール、カメラ、ネット、ゲーム、音楽)
B 子どもが利用する勝手サイトベスト3(モバゲ、魔法のiランド、プロフ→大人社会との接点)
C 1カ月に10万円以上の例も(5000円以上52.8%)
(2)同調圧力
@ 「うちら」だけの濃密なコミュニケーション
A 違いが露呈すると人間関係は修復できない
B メールの送受信(1日51通以上)→「寝る間も惜しんで」
C メールを出して1分以上返事が来ないと、イライラする
D ケータイがないと、「うちら」だけのコミュニケーションから疎外
(3)メール依存症
@ メールが来ないと不安で仕方がない
A メールを通じてしか人間関係を構築できない
【2】ケータイ時代への対応
@ ケータイを所持していないタイプ 自立型(自分に自信を持っている)
A ケータイを所持しているタイプ 自立型(自分に自信を持っている)
B ケータイを所持しているタイプ 同調型(自分に自信がないから、周囲に同調する)
C 個の確立(自信を持つ)
D ケータイのメリット・デメリットの徹底(親、親戚、近所、学校、社会など)
E 政治や企業への働きかけ(フィルタリングなど)
F 自分(大人)が出来ることから始める(様々な地域の会合を通して)
【3】感想
(1)私の所へホームページを習いに来る若い女性がいます。
 大学を卒業して、県職(県の公務員)のなかなかしっかりした女性です。
 彼女に聞くと、「1日に50通以上のメールのやり取りをする」と言います。あるテーマでメールを送信すると、すぐ返信が来る。それを見て、細部のメールを送信するというキャッチボールをすると言います。

(2)産経新聞(2008年12月5日)は、「橋下知事の携帯持ち込み禁止 河村官房長官、鳩山総務相が賛意表明」と題し、次のような記事を掲載しています。
 河村建夫官房長官は5日午前の記者会見で、大阪府の橋下徹知事が公立小中学校の携帯電話持ち込みを原則禁止とする方針を示したことについて「携帯電話を持っていると気が散るし、子供が勉強に集中する上でもいいことだ。橋下知事の判断に賛意を示したい」と述べ、支持を表明した。
 鳩山邦夫総務相も記者会見で「教育現場から携帯電話を追放するのは実に正しい。遅きに失したと言っていい」と賛意を示した。

(3)私の感想です。
 この問題は、命令する側と、命令を受けてその内容を実行する側に分けて考える必要があります。
 命令する側の発言は、建前論ですから、だれも文句を言う人はいないでしょう。
 しかし、現場の実情を知っている先生方はどう思っているのでしょうか。
 私の学校でも、「携帯の使用は禁止」でした。持ち込みを禁止するとなると、所持品を検査するのでしょうか。
 私の教師生活で1度だけ携帯を使用している現場に直面していました。生徒全員が私の方を向いているので、じーっと下を向いていると目につくのです。生徒全員を先生の方に向かせる自信や指導が可能でしょうか。
 私の学校では、やや語気を強めて、「持って来なさい!」と言うと、素直に提出します。すべての学校で、このようなコミュニケーションがとれるのでしょうか。生徒が提出を拒否したり、提出を強制できない先生がいる学校ではどうなるのでしょうか。
 私の学校では、放課後、生徒が謝罪し、理由を言えば、携帯を返すことにしています。この例でも、素直に「すみませんでした。もうしません」と謝罪し、「塾についての打ち合わせをしていました」と言うので、私も素直に返しました。
 こんな学校では、橋本知事が提案するようなことは必要ありません。

(4)子供を取り巻く環境です。
 私も、防犯委員の方を対象に講演する機会がなければ、橋本知事の提案に違和感を感じなかったでしょう。
 しかし、同調圧力を知った時、子供たちには、今までにない経験したことのない厳しい環境にあることを知りました。3分以内にメールの返事を出さないと、仲間から外され、いじめの対象になるのです。
 この問題を解決しない限り、いくら大人が声高に「携帯禁止」を言っても、意味ありません。

(5)最後に
 私は、メールはパソコンのみです。しかも、メールを見る・返信するのは、18時と決めています。メールに束縛されず、心を常に自由にしておきたいからです。
 妻の友人・知人は、ケータイからのメールが多い。「返事が遅い」と文句を言われるそうです。
 妻は、孫4人(息子の子2人、娘の子2人)の応対にケータイの必要に迫られています。
 私の母が95歳になりました。色々と連絡する必要が出てきます。
 妻は、マジックのボランティアなど外出することが多く、固定電話の減少に困っています。
 妻は、今、電話機能だけの携帯電話の購入に真剣になっています。
 私の場合は、講演や研修など計画的な外出のため、ケータイは、まだまだ、先になりそうです。