朝日新聞は、「ユニオン」を活用するというシリーズで、労働組合の役割を”働きやすい職場へ意見伝える”として、次のような記事を掲載しています。
 労働組合員のメリットは?
(1)会社に意見を伝えやすい
(2)労働条件を改善できる
(3)雇用が安定する
 
 労働組合員になることで、労働者にはどんなメリットがあるのだろうか。労働組合の中央団体である日本労働組合総連合会(連合)の大塚敏夫総合組織局長は「最大のメリットは、職場で自由にものが言えること」という。
 無理な残業をさせられた上に残業代が支払われない。有給休暇制度があっても取得できない。職場でセクハラやパワバラを受けても抵抗できない。こうした職場で抗議をすると降格や異動、時には解雇されることすらある。力を持つ社長や上司が怖くて、うっかりものも言えない。特に組合がない中小零細企業で
は、現在でも決して珍しいことではないという。
 憲法28条は、労働者の団結権、団体交渉権、争議権の労働三権を保障している。働いていて何か不満があれば、労働組合をつくり、使用者側と交渉して労働条件を変えていく。その過程で争議(ストライキ)をすることも可能だ。
 会社に対する不平不満や意見を伝えるには個人では限界もあるが、組合を通せば伝えやすい。労働条件や職場環境、賃金・ボーナスの改善など、より働きやすい職場づくりには組合の力は不可欠だ。
 組合をつくるのは、法律上はそれほど難しくない。2人以上の労働者が、労働条件改善などを目的に自主的に結成すればいい。ただ、職場の環境や人間関係などもあり、現実には簡単にいかない場合が多い。大塚さんは「もし職場に組合があれば、まずそこに加入すべきだ」と勧める。
 厚生労働省の07年調査によると、従業員千人以上の大企業では約8割に労働組合があり、雇用者の5割近くが組合に入っている。一方、組合のある中小零細企業は少なく、100〜999人の企業で組合に入っている雇用者の割合は14.3%、99人以下の企業だとわずか1.1%だ。
 では、中小零細企業の雇用者や、派遣・契約社員、パート・アルバイトら非正規雇用者は何を頼ればいいのか。受け皿として増えているのが、個人でも加入できる労働組合だ。こうしたいわゆる「ユニオン」は各地域にあるほか、雇用形態別や業種別にも活動している。
(朝日新聞2008年4月29日付け)