エピソード

資料(304_00)

 共同通信社は、「麻生首相の“迷走発言”パターン うっかり、矛盾、強弁」と題して、次のような解説をしています(2月12日)。
 郵政民営化見直しや定額給付金をめぐる麻生太郎首相の“迷走発言”は、
(1)その場の雰囲気に流されたうっかり発言
(2)過去の自身の発言との矛盾露呈でピンチ
(3)一貫していると強弁で押し通し
という経過が定着しつつある。
 首相は自身が総務相を務めた小泉内閣の郵政民営化方針に関し5日、「賛成でなかった」と述べた。4分社化の経営形態見直しの必要性を訴えた勢いで飛び出した発言だったが、閣議決定に署名したこととの矛盾を指摘され、9日に「民営化した方がいい、最終的にはそう思った」と修正。しかし記者団には「修正ではない。最初から正直に申し上げている」と強調した。
 また首相は5日、総務相当時の所管をめぐり「郵政民営化の担当大臣ではなかった。ぬれぎぬをかぶせられると甚だ面白くない」と不快感を表明。ところが昨年9月の自民党総裁選で「間違えてもらっては困るが、私が総務相として郵政民営化を担当した」と発言していたことが判明した。このため10日には「総務相を2期務め、1期目は間違いなく担当した。2期目に外された」とつじつまを合わせた。
 2009年1月8日、麻生首相は、ぶら下がり記者会見で、定額給付金について、次のように述べました。
記者:その中で高額所得者でも、盛大に使ってほしいと今日おっしゃっていましたが・・。
首相:はい。
記者:高額所得者がもらうのは「さもしい」と発言されていますが、この発言を撤回するお考えはありますか。
首相:私の言っている趣旨は、ずっと一貫していると思っています。基本的には、いつも言うように、この定額給付金の目的っていうものは、いわゆる低額の所得の方々に対する給付、これが最初、私どもが強く申し上げたところ。で、消費の刺激と、いうものと二つあったんですが、あの当時と今と大きく情勢が変わったのは、石油、灯油の値段を見るまでもなく、非常に大きく情勢が変わりましたから、その意味では、消費の部分が非常に大きくなってきたんだと思っています。そういう意味では、景気刺激の部分で行けば、ぜひ使っていただきたいということを申し上げているんであって、言っていることは終始一貫、頂くのは個人ですから、個人で決められるべきが正しいんであって、政府が何に使えとか、どうしろとかいうのを言うのはいかがなものかと、ずっと同じことしか言っていないと思います。
記者:さもしいという発言は撤回されないということでよろしいんでしょうか。
首相:いや、撤回するもしないも、言っていることはずーっと同じことです
記者:この1カ月の間で変わったということですか。
首相:景気情勢として、高額所得者の方には、ぜひ使って頂くというのは、情勢、私の言っている趣旨は、変わっていませんけど、経済状況というのが大きく変わってきている。景気刺激の方により重点が移ってきている、いうことだと思いますんで、経済状況、景気状況が大きく、ずっと、いわゆる消費刺激の方に変わってきていますから、従って、ぜ
ひ、盛大に使って頂くのが最も消費刺激になるんじゃないですか、ということだと思いますが。
記者:総理も、総理も高額所得者ですけれども、盛大に使って頂くということであれば、総理もお使いになるということですか。
首相:私の判断は、もう前にも申し上げましたように、まだ予算も通っていない段階から、どうのこうのするということを申し上げる立場にありませんから。まだちょうだいしていないし、まだ予算も通っていませんから、その意味では、私は、その、ちょうだいできる段階になった段階で、判断します。これもずうっと同じことしか
記者:いや、同じことではありませんけれども。
首相:記者団が呼びかけるのを振り切って去る。
産経:小泉純一郎元首相のあいさつ内容全文(2009.2.12)
 私は最近の総理の発言について、怒るというよりも、笑っちゃうくらい、ただただあきれているところなんです。一昨日も総理から話がしたいということで電話で話をしたんですが、そのときに、たまたま小野次郎代議士のブログに「総理それはないでしょう」というのを読んでいたんです。もう一つ、世耕(弘成)参院議員の「それをいっちゃあおしめえよ」。だからね、総理にね、「こういう意見が耳に入っていないでしょうから、官邸にこの小野次郎さんの文章と世耕さんの文章をファクスで送るから、よく読んでおいてくれ」と言っておきました。
 大体、総理の方針とか、執行部の方針に批判的な意見を若手が出すとね。執行部からは、「後ろから鉄砲を撃つな」という押さえ込みがかかる。最近の状況はね、「総理が前から、これから戦おうとしている人たちに鉄砲を撃っているんじゃないか、発言は気をつけてくれ」とよく言っておきました。
 私についてもね、「常識の通じない男」だとか、「奇人変人」とか言っているようだけど、私は自分では常識をわきまえている普通の人だと思っているんです。これから皆さん、遅くとも9月までには選挙を迎えて戦わなければならない。自民党がどうなっちゃうかみんな心配しています。私もたまには非常識なことをするかもしれませんけれども、大体、政治においては常識的な路線というところに持っていくために、よく、話し合うことが必要だと思っています。これからも、衆院の発議権と参院の発議権が違う場合が起こるかもしれません。そういうことを考えますとね、今、政局より政策優先だという国民の声が強い。だから衆院の意見と参院の意見が違ったら、どういう政策ならば、対策ならば国民の納得ができる案を(できるのか)よく協議してもいいのではないかと私は思っています。
 定額給付金の発言についてね、総理は「さもしい」とか「自分はもらわない」とか、いろいろといっていますけどね。この問題についても、私は本当にこの法案が3分の2を使ってでも成立させなければならんような法案とは思っていないんです。もう私は次の選挙では引退表明していますから、あまり多くのことはいいませんが、「あのとき賛成したけれども、実はそうではなかったんだ」と言いたくないから、この定額給付金についてはもっと参院の意見と調整して、妥当な結論を出してほしいなと思っている。
 これから皆さんは、選挙を目前にして戦わなければならないし、国民の理解を求めなければならない大事な時期ですよ。ぜひとも9月までには国民に信を問わなければならないのですから、政治で一番大事なのは信頼感。特に総
理、総理の発言は信頼がなきゃ選挙は戦えないんです。信頼が大事だということを肝に銘じて、何とか難局を切り抜けるように皆さんと一緒に良い知恵を出していきたいと思い、今日は意見を聞かせてもらおうと思った。