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「宇佐八幡宮神託事件」

『続日本紀』
「神護景雲三年九月己丑条
(上略)始め大宰の主神習宜阿曽麻呂、旨を希いて方に道鏡に媚び事え、因りて八幡の神教と矯りて言う。『道鏡をして皇位に即かしめば天下太平ならん』と。道鏡これを聞き、深く喜びて自負す。天皇、清麻呂を床下に召し、勅して日く。『昨夜夢みるに、八幡の神使来りて云う、大神事を奏せしめんが為に尼法均を請うと。宜しく汝清麻呂、相代わりて往きて彼の神命を聴くべし』と。発するに臨みて道鏡清麻呂に語りて日く。『大神の使を請う所以は、蓋し我が即位の事を告げんが為ならん』と。因りて重く募るに官爵を以てす。清麻呂、行きて神宮に詣る。大神託宣して日く。『我が国家、開闢より以来、君臣定まれり。臣を以て君となすことは未だこれ有らず。天之日嗣は必ず皇緒を立てよ。無道の人は宜しく早く掃除すべし』と。清麻呂来り帰りて、奏すること神教の如し。是に於て道鏡大いに怒り、清麻呂の本官を解きて出だして因幡員外介となす。未だ任所にゆかず、尋いで詔有りて除名し、大隅に配す。其の姉法均は還俗せしめて備後に配す」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)