(s0128)

「最澄と空海の交渉」

『伝教大師消息』
「辱くも金札を抂げられ、仏法の旨を告ぐ。歓ばしきかな、先期を忘れず、今に膠漆を存つ。両家方を伝うること、朝夕慮となす。今高計を承り、仰ぎ□婿と極りなし。然るに今、人々の心、教導すること甚だ難く、また官の試むるところ、相応甚だ難し。但し遮那宗と天台とは融通し、疏宗もまた同じ。誠にすべからく彼此志を同じくし、倶に彼の人を覓むべし。あに己を愛し己を憎むの法あらんや。法華・金光明は先帝の御願なり。また一乗の旨、真言と異なるなし。伏して乞うらくは、遮那を覓むるの機、年々相計りて伝通せしめんことを。委曲の状、十一三具に陳上せん。惟うに意を留めて相待て。弟子老僧最澄和南
  弘仁三年八月十九日
        東山の資最澄状して上る  西山遍昭闍梨 侍者謹空」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)