(s0142)
「三善清行の意見封事」 |
『本朝文粋』 |
「臣某言す。…臣去る寛平五年、備中介に任ず。彼の国下道郡の迩磨郷有り。爰に彼の国の風土記を見るに、皇極天皇六年、…天皇詔を下して試みに此郷の軍士を徴す。 即ち勝兵、二万人を得たり。天皇大いに悦び、此の邑を名づけて二万郷といふ。…後に改めて迩磨郷といふ。…而るに天平神護年中、右大臣吉備朝臣、…試みに此郷の戸口を計るに、纔に課丁千九百余人有り。貞観の初、故民部卿藤原保則朝臣、彼国の介たりし時、…大帳を計るの次で、其の課丁を閲するに、七十余人有り。某、任に至り又此の郷の戸口を閲するに、老丁二人・正丁四人・中男三人有り。去る延喜十一年、彼国の介藤原公利、任満ちて都に帰る。清行、迩磨の郷の戸口、当今幾何を問ふに、公利答へて日く、『一人も有ること無し』と。 意見十二箇条(中略) 一、まさに水旱を消し、豊穰を求むべき事。(中略) 一、奢侈を禁ずるを請うの事。(中略) 一、諸国に勅し、見口の数に随いて口分田を授くるを請うの事。(中略) 一、大学生徒の食□を加給するを請うの事。(中略) 一、五節の妓員を減ずるを請うの事、(中略) 一、旧に依りて判事の員を増置するを請うの事。(中略) 一、平均に百官の季禄を充て給うを請うの事。(中略) 一、諸国の少吏并びに百姓の告言訴訟に依りて朝使を差遣する停止するを請うの事。(中略) 一、諸国勘籍人の定数を置くを請うの事。(中略) 一、贖労人をもって諸国の検非違使及び弩師に補任するを停むるを請うの事。(中略) 一、諸国の僧徒の濫悪、及び宿衛の舎人の凶暴を禁ずるを請うの事。(中略) 一、重ねて播磨国魚住泊を修復するを請うの事。(中略) 延喜十四年四月廿八日 従四位上行式部大輔臣三善朝臣清行 上る」 |
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現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |