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「成功の成立」

『本朝文粋』
「正四位下行式部権大輔兼文章博士大江朝臣匡衡誠惶誠恐謹みて言す。
   特に天恩を蒙り、尾張国済す所の功、并びに侍読の労に依り、美濃国の闕に拝任せられんことを請うの状
右、匡衡尾張守たるの時、民を撫し国を治め、合期の勤めを致し、功有り、過無きの由、諸卿僉議すること早く畢ぬ。また官符・宣旨に依り、国分尼寺・神社・諸定額寺十二箇所を修造するに、官物を申請せず。伊勢豊受宮を造るの料米五百斛、宣耀殿を造る料准穎十余万束、官符・宣旨、蔵人所の召に依りて交易進る所の絹二百余匹等、公帳を立用せず。皆これ諸国史の功を誇り雄を称するの事なり。匡衡ただこれのみに非ず。侍読の労十二年、侍読の書三百巻なり。(中略)望み請うらくは、殊に天恩を蒙り、尾張国済す所の功、并に侍読の労に依り、件の国守の闕に拝任せられ、まさに稽古の力を知らんことを。匡衡誠惶誠恐謹みて言す。
  寛弘六年正月十五日 正四位下行式部権大輔兼文章博士大江朝臣匡衡」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)