(s0172)

「富裕農民の国衙への対捍」

『類聚三代格』
「太政官符
  まさに本職に従わざる諸司の史生已下、諸衛舎人並びに諸院諸宮王臣家色々の人及び散  位・位子・留省等を雑役を差使すべき事
右、河内・参河・但馬等の国の解を得るにいわく。この国久しく流弊を承け、民多く困窮す。なかんずく頓る資産有り、事に従うに堪うべきの輩、すでに諸衛府の舎人を帯し、また王臣家の雑色となり、皆本司本主の威権を仮りて国宰県令の差科に遵わず。これによりて輸貢の物、付預するに人無く、纔かに簡び得たるに随いて貧民を差し充つ。(中略)望み請うらくは、前件色々の人等、見任供節を除くの外、晏然として私居し豊に産業を殖し、ならびに位を帯して肩を息め蔭を承けて手を遊ばすの徒、任中一度例として差し用い、もって貢納を済さん。(中略)謹みて官裁を請う者れば、左大臣宣す、勅を奉るに、請に依れ。諸国これに准ぜよ。もし拒捍し、ならびに公損を致さば、法によりて罪を科し、かつて寛宥せざれ。
  延喜二年四月十一日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)