(s0176)

「不輸の成立」

『慶延記』
「太政官符 伊勢国司
  まさに醍醐寺所領曽禰庄を不輸租田となし、并せて庄司・寄人等の臨時雑役を免ずべき事
 壱志郡に在り
右、彼の寺の去ぬる七月七日の解状を得るにいわく。件の庄租税雑役を免除せらるべきの由、具さに事状を注し言上すること先に畢ぬ。しかるにいまだ裁下を承らず。しかる間、彼の庄司今月九日の解状にいわく。『件の庄いまだ租税を徴するの例有らず。しかるに当任の守藤原朝臣国風、俄かに前例に乖き、庄田を収公し、雑役を付科す。望み請うらくは、早く言上せられ、官符を給いて全く地子を運納せん』者り。望み請うらくは、先の解状に任せ、早く官符を給せられ、租税雑役を免除し、もって庄務を済さん者れば、左大臣宣すらく、勅を奉るに、請いに依れば、国宣しく承知し、宣に依りてこれを行うべし。符到らば奉行せよ。
従五位下右少弁藤原朝臣 国光 右大臣正六位上兼行春宮坊大属
  天暦五年九月十五日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)