（ｓ０１７７）

「不入の成立」

『東大寺文書』

「左弁官下す　美濃国
　　まさに旧の如く示を立て、永く牢篭を止め、兼ねて国使を入れず、雑役を免除し、ひ　　とえに寺家の雑事を勤めしむべき所領大井・茜部庄の事
右、東大寺の去年十二月廿一日の奏状を得るにいわく。謹みて案内を検するに、件の庄等は、或は租帳より除かるる格前の処、或は官省符の処なり。しかるに近代の国司、狼戻を宗となし、国役を充て負わせて責勘するの間、本寺への例進悉く以て闕怠す。倩旧記を案ずるに、件の庄の出だすとおろの物を以て、法花会の布施并びに修理作料に充て用う。これによりて国使を入れず、国役を仰さざるなり。（中略）望み請うらくは官裁し、早く官使を寺家所領の庄等に下し遣わし、四至を堺して示を打ち、永く国使を入れ并びに国役を充つるを停止せん（中略）者れば、右大臣宣すらく、勅を奉るに、宜しく彼の国に仰せ、旧の如く示を打ちて牢篭を止め、また国使を入れず雑役を免除すべし者れば、宣に依りてこれを行うべし。違失あるべからず。
天喜四年閏三月廿六日大史小槻宿禰　中弁平朝臣　在判」

現代語訳や解説については下記を参考にしてください

『詳説日本史史料集』（山川出版社）

『精選日本史史料集』（第一学習社）

『日本史重要史料集』（浜島書店）

『詳解日本史史料集』（東京書籍）