(s0184)

「勅旨開田の禁止」

『類聚三代格』
「太政官附す
 応に勅旨開田并びに諸院諸宮及び五位以上、百姓の田地舎宅を買い取り閑地荒田を占請するを停止しべきの事
 右、案内を検するに、頃年勅旨開田は遍く諸国に在り、空閑荒廃の地を占むると雖も、是れ黎元の産業の便を奪うなり。加之新に庄家を立て、多く苛法を施す。課責尤も繁く、威脅耐え難し。且つ諸国□濫の百姓課役を遁れんが為め、動もすれば京師に赴き、好みて豪家に属す。或いは田地を以て詐りて寄進と称し、或いは舎宅を以て巧みに売与と号し、遂に使を請い牒を取り封を加え榜を立つ。国吏矯飾の計を知ると雖も、而も権貴の勢を憚り、口を鉗み舌を巻き、敢えて禁制せず。茲に因りて出挙の日、事を権門に託して正税を請わず。 収納の時、穀を私宅に蓄えて官倉に運ばず。賦税の済し難き、斯に由らざる莫し。…宜しく当代以後、勅旨開田は皆悉く停止し、民をして負作せしめ、其の寺社百姓の田地は、各公験に任せて本主に還与うべし。且つ夫れ百姓の、田地舎宅を以て権貴に売り寄するは、蔭□を論ぜず、士浪を弁ぜず、杖六十に決せよ・…但し元来相伝して庄家と為し、券契分明にして国務に妨げ無きものは、此の限りに在らず。仍りて官附到る後百日の内に弁行し、状を具して言上すべし」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)