(s0189)

「尾張国解文」

『平安遺文』
「 尾張国の郡司百姓等解し申す 官裁を請うの事
  裁断せられんことを請う、当国守藤原朝臣元命、三箇年内非法の官物を責 め取り、并びに横法を濫行すること三十一箇条。
一、裁断せられんことを請う、例挙外三箇年内収納加徴せる正税三十三万千二 百四十八束の息利十二万九千万百七十四束四把一分の事。(中略)
一、裁断せられんことを請う、官法の外意に任せて租穀段別三斗六升を過徴す るの事。(中略)
一、裁断せられんことを請う、進る所の調絹の減直、并びに精好の生糸の事。 (中略)
一、裁断せられんことを請う、三箇年池溝并びに救急料稲万二千余束を充て行 わざるの事。(中略)
一、裁断せられんことを請う、旧年用残の稲穀を以て京宅に春運せしむるの事。 (中略)
一、裁断せられんことを請う、守元命朝臣京より下向するに、毎度有官散位の 従類、同じく不善の輩を引率する事。(中略)
一、裁断せられんことを請う、元命朝臣の子弟郎等、郡司百姓の手より雑物を 乞い取るの事。(中略)
一、裁糺せられんことを請う、去ぬる寛和三年二月七日諸国に下し給わるる九 箇条の官符の内、三箇条を放ち知らしめ、六箇条を下知せしめざるの事。 (中略)
 以前の条の事、憲法の貴きを知らんがために言上すること件の如し。(中略)望み請ふらくは、件の元命朝臣を停止せられ、改めて良使を任じ、以てまさに他国の牧宰をして治国優民の褒賞を知らしめんことを。(中略)仍りて具さに三十一箇条の事状を勒し、謹みて解す。
  永延二年十一月八日    郡司百姓等」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)