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「数量信仰と異相往生」

『東京国立博物館蔵』
「敬しみて白す。
安置し供養し奉ること前に畢れる年来の仏経惣目録
一、都合仏菩薩如来積二万八千八百十躰(中略)
一、都合御経積三千六百八十八部(中略)
一、天台山比叡山千僧供米目録
   東塔千八百六十七ト 西塔七百十七ト 横川四百七十ト
   都合三千五十四ト(中略)
一、伝読供養し奉る大般若経目録
   都合十七部 一万二百巻
右伝聞すらく、天王寺の西門は極楽の東門に通ずと。然れば則ち死期命終の時を待たず、去ぬる保延六年庚申八月九日庚辰彼岸の内、後世菩提の料、仏経供養の日、即ち御寺の西の海に、数年勤行供養せる若干の目録を頚に懸け、西方に向身を投じ海に入ると雖も、深海縁浅く(中略)、未来を俟ちて延引すること先に了ぬ。今においては仏神の告を蒙り、住宅の内に穴堀り儲け、梵天帝釈閻魔の庁に存生を訴うる時のため、兼ねて後世の菩提往生の地を賜い畢ぬ。(中略)仰ぎ願わくは、三世の諸仏、十方の大土経王ら、本撰の願を誤たず、白牛の車を轄して紫金の座に迎えよ。乃至功徳余るの上は、鉄囲の下砂界に及び、遍く法雨に湿い、悉く苦塵を洗わんことを。敬しみて白す。
永治二年三月十七日      沙弥西念敬白」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)