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「摂関家領の横領」

『玉葉』
「治承三年六月十八日条
白川准后 盛子、入道前相国女、故中院摂政室家、一所資財庄園、皆件の人の領なり、生年廿四、去んむる夜薨去すと云々、(中略)天下の人謂う『異性の身を以て藤氏の家を伝領す、氏の明神これを悪み、遂にこの罰を致す』と云々。余思う所は、若し大明神この事を咎めば、いずくんぞ十四年の間、その罰を与えざらん。何ぞ況んや、この後かの資財所領等、豈に藤氏に付けられん乎。計らいおもへらく公家の沙汰歟、(中略)仮に伝領するの人、已に亡没す。この時に至り、財主出来すべき歟。宗たる所、氏長者に付せらるべし。その外の所々、理に任せて尤も配分せられるべきなり。理の当たるところ、未だ処分せざるの地なり。故摂政、男女子息その数あり。尤も配分せらるべし。二品亜相已に成人の息たり。宗たる文書庄園、伝領せらるべきの仁なり。而るにこの事さらに叶うべからざる歟。公家、伝領せらるるごとき歟。ここを以て万事沙汰の趣、愚推するところなり。(中略)悲しき哉、この時、藤氏の家門、滅び尽くし了ぬ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)