(s0259)
「禿童(平氏のスパイ)」 |
『平家物語』 |
「いかなる賢王聖主の御政も、摂政関白の御成敗も、世にあまされたるいたづら者などの、人のきかぬ所にて、なにとなうそしり傾け申事はつねの習なれども、此禅門世ざかりのほどは、聊いるかせにも申者なし。其故は、入道相国のはかりことに、十四五六の童部を三百人揃て、髪を禿にきりまはし、あかき直垂をきせて、めしつかはれけるが、京中にみちみちて往反しけり。をのづから平家の事あしざまに申者あれば、一人きゝ出さぬほどこそありけれ、余党に触廻して其家に乱入し、資財雑具を追補し、其奴を搦とって、六波羅へゐてまいる。されば目にみ、心にしるといへども、詞にあらわれて申者なし。六波羅殿の禿といひてしかば、道をすぐる馬・車もよぎてぞとほりける」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |