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「新補率法地頭」

『近衛家本追加』
「去々年兵乱以後、諸国庄園郷保に補せらるる所の地頭の沙汰の条々
一、得分の事
  右、宣旨の状の如くんば、仮令、田畠各十一町の内、十町の領家国司分、一町は地頭分、広 博狭小を嫌はず、此の率法を以て免給するの上、加徴は段別五升を充て行はるべしと云々。尤 も以て神妙なり。 但し此の中、本より将軍家の御下知を帯し、地頭たる輩の跡、没収の職と して改補せたるるの所々に於いては、得分縦へ減少すと雖も、今更加増の限りに非ず。是れ旧 儀に依るべきの故なり、しかのみならず、新補の中、本司の跡、得分尋常の地に至っては、又 以て成敗に及ばず。只得分無き所々を勘注し、宣下の旨を守り、計ひ充てしむべきなり。仍て 各成敗の状を賦り給うべきなり。且はこれこの状を帯せざるの輩、帳行の事出来せば、交名を 注し申さるべし。状に随い過断せらるべきなり。
一、郡内寺社の事(中略)
一、公文、田所、案主、惣追捕使、有司等の事(中略)
一、山野河海の事
  右、領家国司の方、地頭分、折中の法を以て、各半分の沙汰を致すべし。しかのみならず、 先例限りなる年貢物等、本法を守り、違乱すべからず。
一、犯過人糺断の事
  右、領家国司三分の二、地頭三分の一、沙汰を致すべきなり。
 貞応二年七月六日          前陸奥守
 相模守殿」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)