(s0328)
「親鸞と浄土真宗」 |
『歎異抄』 |
「親鸞にをきては、『たゞ念仏して、弥陀にたすけられまいらすべし』と、よきひとの仰をかふむりて、信ずるほかに、別の子細なきなり。念仏は、まことに浄土にうまるゝたねにてやはんべるらん。また、地獄にをつべき業にてやはんべるらん。惣じてもて存知せざるなり。たとひ、法然聖人にすかされまいらせて、念仏して地獄におちたりとも、さらに後悔すべからずさふらう。… 善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。しかるを世のひとつねにいはく、『悪人のを往生す、いかにいはんや善人をや』と。この条、一旦そのいはれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり。そのゆへは、自力作善のひとは、ひとへに他力をたのむこゝろかけたるあひだ、弥陀の本願にあらず。しかれども、自力のこゝろをひるがへして、他力をたのみたてまつれば、真実報土の往生をとぐるなり。煩悩具足のわれらは、いづれの行にても生死をはなるゝことあるべからざるを哀れたまひて、願をおこしたまふ本意、悪人成仏のためなれば、他力をたのみたてまつる悪人、もとも往生の正因なり。よて善人だにこそ往生すれ、まして悪人はと、仰さふらひき」 |
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現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |