(s0329)
「日蓮と法華宗」 |
『立正安国論』 |
「若し先ず国土を安んじて現当を祈らんと欲せば、速かに情慮を廻らし、いそぎて対治を加へよ。所以は何ん。薬師経の七難の内、五難忽ち起り、二難猶残せり。所以他国侵逼の難、自界叛逆の難なり。大集経の三災の内二災早く顕れ一災未だ起きず。所以兵革の災なり。。金光明経の内種々の災禍一々起こると雖も、他方の怨賊国内を侵掠する、この災未だ露れず、この難未だ来らず。 (中略)若し残る所の難、悪法の科に依って並び起り競ひ来らば、其の時何んか為んや。帝王は国家を基として天下を治め、人臣は田園を領して世上を保つ。而るに他方の賊来りてその国を侵逼し、自界叛逆してその地を掠領せば、豈に驚かざらんや、豈に騒がざらんや。国を失い家を滅せば、いずれの所にか世を遁れん。(中略)就中人の世に在るや、各後生を恐る。是を以て或は邪教を信じ、或は謗法を貴ぶ。各是非に迷ふことを悪むと雖も、而も猶仏法に帰することを哀しむ。何ぞ同じく信心の力を以て妄りに邪義の詞を崇ばんや、…汝早く信仰の寸心を改めて、速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰へんや。十方は悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば、身は是れ安全にして、心は是れ禅定ならん。此の詞、此の言信ず可し、崇む可し」 |
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現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |