(s0367)

「建武政権に対する庶民の批判」

『東寺百合文書』
「東寺御領若狭国太良御荘の百姓など謹みて言上す。
 早く前例に因准せられ、根本の御例に任せ、御哀憐を垂れられ、御免の御成敗を蒙らんと欲する条々の愁状
右、明王聖主の御代み罷り成る。随って諸国の所務は旧里に帰し、天下の土民百姓など、皆もって貴きの思いをなすの条、その隠もなき者なり。(中略)去る正安年中より以来、地頭職においては関東御領に罷り成り、非法横法を帳行せらると云々。(中略)関東御滅亡の今は、当寺の御領に罷り成り、百姓など喜悦の思いを成すの処、御所務かって以て御内御領の例に違わず。剰え新増せしめ、巨多の御使を付せらる。当時濃業の最中、呵責せらるるの間、愁吟にたえざるによって、子細を勒して言上す。
 建武元年五月日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)