(s0390)
「物の道理」 |
『愚管抄』 |
「年にそへ日にそへては、物の道理をのみ思つゞけて、老のねざめをもなぐさめつゝ、いとゞ年もかたぶきまかるまゝに、世中もひさしくみて侍れば、昔よりうつりまかる道理もあはれにおぼえて、神の御代はしらず、人代となりて神武天皇の御後百王とここゆる、すでにのこりすくなく、八十四代にも成にける中に、保元の乱いできてのちのことも、また世継がものがたりと申ものもかきつぎらる人なし。少々ありとかやうけたまはれども、いまだえみ侍らず。それはみなたゞよき事をのみしるさんと侍れば、保元以後のことはみな乱世にて侍れば、わろき事にてのみあらんずるをはばかりて、人も申をかぬにやと、をろかに覚えて、ひとすじに世のうつりかはりおとろへたることはり、ひとすじを申さばやとおもひて思ひつゞくれば、まことにいはれてのみ覚ゆるを、(中略) 世の道理のうつりゆく事たてむには、一切の法はたゞ道理を云二文字がもつなり。其外はなにもなき也」 |
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現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |