(s0578)

「長崎の寄進」

『日本巡察記』
「これは、大村の領主ドン・バルトロメウが行った茂木および長崎の割譲の内容である。
 大村の領主ドン・バルトロメウ及びその子息サンチョは、イエズス会の諸パードレに負うところの多いことを深く考え、イエズス会及びイエズス会の巡察師に、長崎の町を、周囲の総ての田畑と共に何物も残すことなく、永久に無償で贈与する。それ故に予は今より、それらの所有権を与え、イエズス会のパードレは、その希望するいかなる者をも、その地の支配者となしうるし、その職を免ずることができる。また、パードレが選んだいかなる者にも、その地の適切な支配、及びその地の法令に違反する者を罰するために必要な死刑、その他の裁判権を与える。また、ポルトガル人の船が、この港に碇泊中に支払うものを、永久に引渡し授与する。ただし、ポルトガル船、及び、この港に入るその他の船の税金は、予に保留し、この税金は、予の家臣に取り立てさせる。しかし、これらの家臣は、その地の支配に関するいかなる問題にも介しない。また同じく、予はパードレに、茂木の土地、及びこれに属する総ての田畑を贈与する。この贈与を、将来、決して変えることなく、永久の有効なものとする証拠しとして、予及び予の子息サンチョが署名したこの書状を作製する。
  天正八年四月二十七日  ドン・バルトロメウ
ドン・サンチョ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)