(s0583)

「朝鮮での戦闘」

『日本史』
「高麗軍は、当初は日本軍を大いに恐れ、かつ憂慮していたが、日本人に臣従っっっっする気配を全く示さぬのみか、全力を尽くして過激な行動に出たので、日本軍には二つの至難な問題が生じることになった。
その一つは、彼らはおのおの非常に遠隔の異なった地方に配置され、海岸から遠く離れているために、日本から海路輸送されてくる食糧を各地へ補給するのに、高麗の兵士は、自らの地理に通じているのに乗じ、各地で彼らを待ち伏せ、追剥となって襲撃し、思うままに殺戮しては、日本兵が輸送する食糧をことごとく掠奪した。彼ら日本兵は集団を組んで食糧を運びに来る場合が多く、またきわめて長途の旅をせねばならなかったから、その往復のためにも、運送する食糧の一部を必要とすることがたび重なった。
日本軍が遭遇した第二の艱難辛苦は、高麗軍が、窮余の策として団結し、連合軍を編成し、多数の優秀な船に乗り込んで襲来したことであった。それらの船は堅固であり、堂々としており、彼らはそれに武器、弾薬、食糧を満載し、海賊となって洋上を彷徨しつつ、日本船を見つけるとただちに襲撃し掠奪した。高麗軍は日本軍よりも海戦に長じ馴れてもいたので、彼らに多大の尊大を加え、この日本軍の災難はいつまでも継続した」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)