(s0619)

「林羅山の身分観」

『春鑑抄』
「天はたかく地は低し。上下差別あるごとく、人にも又君はたふとく、臣はいやしきぞ。その上下の次第を分て、礼義・法度と云ことは定めて、人の心を治められたぞ。(中略)礼と云ものは、『尊卑序有て、長幼序有る』ぞ。尊は位のたかきを云ぞ。卑は位の低きを云ぞ。これには次第がなふてはかなはぬぞ。君は尊く臣はいやしきほどに、さの差別がなくば、国は治まるまひ。君には天子あり、諸侯あり。その差別がなににつけてもあるぞ。車にのれども、車のかざりやうがちがふぞ。臣下にも百官の位により、車や衣裳、なににつけてもその差別あるぞ。座敷になをれども、尊きは上座にゐ、いやしきは下座にあるぞ。かやうなることが礼と云ものぞ。『長幼序有り』と云も、老ひたる人と若き人に差別・次第がありて、老たるは上に居、若きは下もにいるやうに、なににつけてもその法度あるを、礼と云ぞ。礼と云ことがなくて、君臣わかちもなくんば、臣下として君をないがしろにし、君も臣を使ふに礼儀なくんば、国は治まるまいぞ。かならず乱れんぞ。乱るればほろぶぞ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)