(s0635)

「分地制限令」

『農家貫行』
「総て十石以上の百姓田地分といふことは、前々より御制禁なり。是は高も持ぬ百姓兄弟の子に田地を分け、本家を薄くし、後には兄弟とも潰百姓と成ゆへの御停止なり。此の事もはじめ合点して居れども、老ぼれより田地分の無分別起るなり。いかんといふに、総領は小分別有りて、間には老ぼれの異見をもすれば、親に異見だてをする不孝ものなり。あの心にて弟共を無告すべしとて、十石の高を三つに分、惣領は五石、二男三男三石二石と分れども、惣領は十石の株を蹈へ、祝ひしふぎには惣領の方へ集まり喰倒し、身上相続すべき余慶なく、二男三男も少しの地面を扣へ、一軒を立るゆへ、間もなく身上叶はずといへども、惣領の本家も同前にて、合力する事ならざれば、兄弟中互に悪くなり、終に田畑はらひ、水呑と成て世を送り、人にうしろ指をさるる事、おほぼれの田地分より起るなり。世にあほうものを田分けと云は、彼の田地分より来る詞なり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)