(s0670)

「上げ米令批判」

『兼山秘策』
「此度交代の儀に付御書出拝見見仕り候処、恐れ乍ら御文言如何敷存ずる処多く御座候。其の故考へ候へば、先生御潤色を経し物とは存ぜられず候。作り御直しも成され候哉の旨申述べ候処、少も御見させ遊ばざれず候。御耻辱をも顧みられざるにこれ有る儀など、近頃入らざる御文体、後世の議論も生じ申すべき様に存じ候。御文盲御座成され候故、只御質直に思召さるゝまゝ御調遊ばされたるものゝ、御旗本中にては風俗悪敷候故、却て御謀略にて態とケ様に御調成され候物と申ものもこれ有り候。曽て御謀略にてはこれ無く、御真実に御難儀に思召され候に付、別に御近習に御役人中などへ御出成され候。御紙面抔にも御大名へ斯様の儀仰渡され、人別も遊ばされがたき程に思召し候旨相見申し候。両通とも御自身の御文言にて、少し御自慢の方に御座候旨仰聞され候。私申し候は、『己を罪す』の詔等の御心持にて、誠に以て有りがたき御儀に存じ奉り候。然し乍ら辞令も又大事のものに御座候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)