(s0675)
「大岡忠相の登用」 |
『有徳院殿御実紀付録』 |
「大岡越前守忠相いまだ忠右衛門とて伊勢山田奉行たりし時、山田と松坂の農民らいさかひて訴へに及びし事あり。もと松坂も民ひが事なりしかど、松坂は紀伊家の領地たるをもって、先々の奉行ぜひを明かに断ずれば紀伊家の民の負くるを憚り、ことよくいひなしてあつかひければ、松坂の民いよいよいひつのり、奉行のかわるごとに訴へ出て、奉行等ももてなやむ事なりしが、忠相奉行となるの初め、双方の訴訟をきき、これ全く松坂の者共をみな罪におとしけり。これよりみなその公けなる器量の程を感ぜざるものなし。公には其の頃いまだ紀邸におはしけるが、将軍職つがせ給ひて後、忠相が宗室権門を憚らざる心ざしを感ぜさせ給ひ、江戸に召して町奉行となされしに、いよいよ明白にして世の人みな感服せしかば、やがて多くの新恩を給ひ、寺社の奉行ののぼせらる」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |