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「目安箱」

『御触書寛保集成』
「  覚
 ちかき頃は度々所々え、けみやう并びに住所等これなきすてふみいたし、法外の事共もこれ有り候。これによりて評定所におゐて、当八月より毎月二日十一日廿一日、評定所そとの腰かけの内に、はこ出し置き候間、書付持参のもの、右のはこへ入申すべく候。刻限の儀は、昼九つ時までに内差出すべく候。かくのごとく場所さだめ候へば、ほかへすてふみいたし候とも、取上げこれなく候間、其のおもむきを存ずべく候。
右の通り一同に承知候ため、此の所にたてをく者なり。
一、御仕置筋の儀に付、御為になるべき品の事。
一、諸役人をはじめ、私曲ひふんこれある事。
一、訴訟これある時、役人せんぎをとげず、永々すて置におゐては、直訴すべ きむね相ことはり候上、出すべき事。
右の類直訴すべき事。
一、自分のためによろしき儀あるひは私のいこんを以て、人の悪事申すまじき 事。
一、何事によろず、自分たしかにしらざる儀を、人にたのまれ、直訴いたすま じき事。
一、訴訟等の儀、その筋々の役所へいまだ申出ざるうち、あるいはさいきよい まだすまざるうち、此の両やう申出まじき事。
一、惣じてありていを申さず、すこしにても事を取りつくろい、きょせつ書の せ申す間敷事。右の類は取上なし。かきものはすなわりやきすつべし。尤も たくみ事のしなによりて罪科に行るべし。かき物はかたく封じもち来るべし。 訴人の名并びに宿書付これなくは、是又取上げざるものなり。
  丑閏七月廿五日」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)