(s0682)

「瓦葺の奨励」

『正宝事録』
「  書付を以て申上げ候
一、町家の儀、瓦葺に仕度存寄これ有り候哉、町人共遠慮に存罷有るべきも計 りがたく候間、相尋ね申すべき旨御尋に御座候に付、承り候処、先年は瓦葺 に御座候由、其の節は飛火も移申さず候由承伝申し候。六拾四年以前酉年大 火事以後、度々類焼にて町々家持共困窮仕りて候故、自分と家作仕らず、地 借の者共方にて家作仕り候得共、是又度々類焼にて板葺さへ及ばざる町々多 く御座候て、漸く茅葺に仕り候仕合に御座候得ば、瓦葺に仕り候儀、仕りが らく存じ奉り候由、町人共申し候。然共五町十町に壱つ弐つ程も塗家に造り 候者も御座候得共、壱町と続塗家に造り候者御座なく候。近年は家持地がり 等も当分の渡世心易送り候者も数なく御座候。瓦葺に仕り候得ば、柱棟木等 も丈夫に建申さず候はては瓦も置かれ申さず候故、力に及ばず罷有り候由申 酢候。以上。
    享保五子年二月十九日
惣町中名主共」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)