(s0685)

「物価値下げ令」

『正宝事録』
「米穀去年より段々下直に候所、其の外諸色の直段高直に付、諸人難儀に及び候。酒・酢・醤油・味噌類は米穀を以て造り出し候ものに候得は、米直段に准ずべき儀勿論に候。且又竹木・炭薪・塩・油・織物等一切の売買もの、或ひは諸色の職人に至る迄直に米穀を以て作り出さずといへども、工手間人夫迄賃銭、何れも飯米を元として積り立て候事に候得は、諸物の直段も米に准じ、下直売出すべき道理に候。右の段去年中より申付べく候得共、未だ間も無き事故、其の儀に及ばず候。当年に至ても前々の直段の位を以て商売致し候はば、過分の利徳を心掛け候ての事に候条、此の以後直段引下申すべく候。此の如く申聞き候上、其の儀これ無きにおゐては、三月朔日より其の筋の吟味を遂げ、急度曲事に申付べく候。件の趣国々所々えも相触れ候間、諸色仕出し所より元直段引下げ申さず候はば、其の手寄の商売人訴出べく候。若し打捨置き候はば是又曲事たるべき者なり。
  享保九年二月」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)