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「由井正雪の遺書」

『視聴日録』
「今度、讒奸これ有り、私反逆致し候様、聞召し入れらるる段、最も此有るべき儀に存じ奉り候。併し、私体、如何ぞ当代の天下乱破せしむる事、叶ふべき儀これ無く候。然れ共、天下の制法無道にして、上下困窮仕り候事、心有る者、誰か悲しまず候哉。然るを松平能登守殿、諌言のため、遁世致さるといへども、却て狂人と罷成り、忠義の志、空しく罷成り候事、天下の大なる歎き、上様御為宜しからざる儀に存じ候。私不肖に御座候へ共、天下困窮せしむる所の讃岐守等、遠流せしむるため、少々偽謀し、人数を催し、暫く篭城せしめ、此の旨段々天下の御長久の政奏申し、其の上にて如何様にも罷成り申すべしと相謀り候へ共、不肖の志、徒に罷成り候。紀伊大納言様の御名を借り申さず候へば、謀計成りがたく候故、御扶持の者と申し候。私儀、誰人よりも扶持方申請け候者にてこれ無く候。心底天の照覧、此の外他なく候、申達し候事数多御座候へ共、時急故、早々申残し候。以上。
  七月廿六日 由井正雪」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)