(s0717)
「シドッチの尋問」 |
『徳川実記』 |
「この日儒官新井勘解由君美を小石川切支丹屋敷に遣はされ、天主教考察兼奉はる。(中略)これは西洋いたりやの内ろうまといふ地のものにて、名をばよはん、ばつていすた、しろしてといふものなり。去年八月廿八日大隅国馭謨郡屋久島に、ただ一人、月代そり、衣刀もわが国の装して来しが、言語さらにわかたざるをもて、村民あやしみ、領主へうたへければ、松平薩摩守吉貴より長崎にをくりぬ。彼地の奉行等、阿蘭陀の人並びに訳官共して、其の来れる由を糺問せしめしに、天主教をこゝに施さんとて来る由なれど、さらに聞わかぬことのみ多きよし、奉行より聞え上たり。よて君美に仰下されしに、君美申す旨ありければ、さらばこゝにめしよすべきよしにて、此の月の初めに漸く至りしなり。今日召出したるに、其の丈高きこと六尺に越て、髪黒く、眼深く、鼻高く、弁説さはやかにして、いかにも彼国博聞強記の人にて、天文・地理のごときはもっとも精微なりと聞ゆ。これより君美、日を重ね対問せしかば、はじめこそあれ、遂には互にその言語を聞熟し、訳をまたず問答することとはなりき」 |
現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |