(s0731)
「越後屋の経営」 |
| 『日本永代蔵』 |
| 「商ひの道はある物、三井九郎右衛門といふ男、手金の光むかし小判の駿河町と云所に、面九間の四十間に棟高く長屋作りして、新棚を出し、万現銀売にかけねなしと相定め、四十余人利発手代を追まはし、一人一色の役目、たとえば金襴類一人、日野郡内絹類一人、羽二重一人、紗綾類一人、麻袴類一人、紅類一人、麻袴類一人、毛織類一人、此のごとく手わけをして天鵞絨一寸四方、緞子毛貫袋になる程、緋繻子、鑓印長、竜門の袖覆輪かたかたにても物の自由に売り渡しぬ。殊更俄目見えの熨火目、いそぎの羽織などは其使をまたせ数十人の手前細工人立ちならび、即座に仕立てこれを渡しぬ。 さによって家栄え毎日金子百五十両づつならしに商売しげるとなり。世の重宝是ぞかし。此の亭主を見るに、目鼻手足あって、外の人にかはった所のなく、家職にかはってかしこし。大商人の手本なるべし」 |
| 現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
| 『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
| 『精選日本史史料集』(第一学習社) |
| 『日本史重要史料集』(浜島書店) |
| 『詳解日本史史料集』(東京書籍) |