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「両替商」 |
| 『町人考見録』 |
| 「両替屋は、百年以来、上品の身上は、此記にしるす如く、中位の身上は其数をしらず。今の跡とて何程も相見申さず候、別て両替商売は六ケ敷ものと心得申す可く、江戸大坂とて同断、其子細は、両替というものは、元銀金銭の値段、少しの利分を以、当世商売の所ぞかし、然るにか、少し元手出来ると、少しの店売はまだるく、天より大名商人へ借引致し、人の金銭の肝煎せんよりも、身上よく見請候えば、安利にして持かけ預ける故、元の両替筋を忘れ、大欲になりて、分際不相応広げちらし、少しのつまづきも、元が無理から故、直に滅亡する也。…今京都に身体に此疵を負ぬ両替屋は四五軒ならでは之無く候。日野屋又右衛門、同甚太郎、百足屋仁左衛門、手前両替店也。能々此次第を考え、工夫致す可き事也。然るに今両替の内、家も栄え工面能致し参るもの、大坂鴻池善右衛門 親喜右衛門也 此親了信という。…近年大名かし致候もの将棋倒しに成行申処、此鴻池は上手に廻しよく。ますます身上厚く相成候」 |
| 現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
| 『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
| 『精選日本史史料集』(第一学習社) |
| 『日本史重要史料集』(浜島書店) |
| 『詳解日本史史料集』(東京書籍) |