(s0746)

「百姓一揆」

『世事見聞録』
「百姓の騒動するは、領主地頭の責誣る事のみにはあるべからず。必其土地に有余のものあつて大勢の小前を貪るゆゑ、苦痛に迫りて一揆など企るなり。前にいふ如く昔百人にて共に稼来し村方をも、今は五十人程は遊び暮すのみならず、小前を犯すゆゑ、小前の五十人は難儀の四重にも覆ひ懸るゆゑ、中々食料たらず、耕作の間に或は駄賃を取り、或は日雇に出で、或は手業その外を成せども、遠国の事なれば左のみ助成にも成り兼て、身も心も落付べき所なし。或は病に臥したる親の看病をもいたし得ず、素より薬をあとふる力なく、又家族共も夏の夜は蚤蚊に責られ、寒気は乏しき焼火の影を頼み、苧を編み糸をとり機を織などいたし、或は其機の代銭をも前借などして、商人等勝手侭まる安き直段に差引れ、 …僅の暮しなれば雑食も給べ継事能はず、自然に年貢未進等出来、聊売残りたる田畑又は家屋敷など売払、其上にも村役人への勘定立兼、或は地主其外借金の筋へ申訳立難く、義理に逼り無拠身を転ずるを申訳の身情とし、或は老たる親を跡に置、前後も弁へぬ子供を妻に預け置き又は老父母に預け置、或は夫婦離別して子供を呉れ抔して、御当地などの繁花を頼に稼ぎ出た るなり。 是、生立の民の本業に離れ土地に離れ弊俗となる所なり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)