(s0767)

「国学の発達」

『直毘霊』
「そもそも天地のことわりしも、すべて神の御所為にして、いともいとも妙に奇しく、霊しきものにしあれば、さらに人のかぎりある智りもては、測りがたきわざなるを、いかでかよくきはめつくして知ることのあらむ。然るに聖人のいへる言をば何ごともたゞ理の至極と信たふとみをこそいと愚なれ。
 聖人の道は、国を治むために作りて、かへりて国を乱すたねともなる物ぞ。すべて何わざも大らかにして事足りぬることは、さてあるこそよけれ、故、皇国の古は、さる言痛き教も何もなかりしかど、下が下までみだるゝことなく、天下は穏に治田まりて、天津日嗣いや遠長に伝はり来ませり。さればかの異国の名にならひていはゞ、是ぞ上もなき優れたる大き道にして、実は道あるが故に道てふ言なく、道てふことなけれど、道ありしなり。そのことごとしくいひあぐると、然らぬとのけじめを思へ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)