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「灯油原料の統制」

『日本財政経済史料』
「一、宝暦九己卯年、布令ありて摂州兵庫、西の宮、及び紀州、中国、四国、 西国の産出絞油は、江戸へ直送せず。必ず大坂油問屋へ輸送し、又諸国に 於て絞草、綿実を買集して、猥りに油絞稼をなすことを禁止せられたり。
一、明和四丁亥年、小網町二丁目多田屋直三郎外一名、官に請願して綿実買 問屋を命ぜらる。而して関東八ケ国に於て産出の綿実は、坂府輸出を除く の外、悉く該両名へ売却し、これを他に売買することを禁ず。而して其の 物品は、相州足柄下郡早川村に於て、絞油稼人等へ売却し、これを製造し て再び江戸油問屋へ売渡すべきことを布令せしめ、また同七庚寅年、摂・ 河・泉に於て絞油人の株式を定め、而して該営業者が絞草買集の産地を定 めらる。
一、安永四乙辰年、布令ありて江戸市街に拾戸、各村に四拾戸の綿実仲買を 定め、関東に産出する綿実は、悉く仲買人に売渡して、他にこれを販売す るを禁じたり。
一、天明四甲辰年、中橋広小路神屋善三郎外一名の者、官に請願して菜種買 問屋を命ぜられ、并びに買次の者弐百名を各村に置き、関東八ケ国より産 出する菜種、該商人等買請けこれを製造し、其の絞油を以て幕府の入用に 充て、其の残余を市街問屋へ販売すべく布令あり。然れども同八戌申年に 至り、該買問屋并びに買次商人を廃止せられ、翌寛政元己酉年に至り、綿 実買問屋及び仲買人等も廃止せられたり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)