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「定信の決意」

『楽翁公伝』
「  吉祥院歓喜天願文
 天明八年正月二日、松平越中守儀、一命に懸け奉り心願仕候。当年、米穀融通宜く、格別の高直之れ無く、下々難儀仕らず、安堵静謐仕り、並に金穀御融通宜く、御威信御仁恵下々へ行届き候様に、越中守一命は勿論之事、妻子之一命にも懸け奉り候而、必死に心願し奉り候事。右条々相調はず、下々困窮、御威信御仁徳行届かず、人々解体仕り候儀に御座候はゞ、只今之内に、私死去仕候様に願ひ奉り候。生ながらへ候ても中興之功出来仕らず、汚名相流し候よりは、只今の英功を養家の幸、并に一時之忠に仕り候へば死去仕り候方、反て忠孝に相叶ひ候儀と存ぜられ候。右之仕合に付、御憐愍を以て金穀融通、下々困窮に及ばず、御威信御仁恵行届き、中興全く成就之儀、偏に心願し奉り候。敬白」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)