(s0798)

「人足寄場」

『宇下人言』
「この寄場の事をいはんに、これまで狩込とて時々無宿をかりとりて、溜なんどへ打入れてをきしに、すでにわがこの職を蒙りし頃尋ねしに千何百人とありしが、そのうち千人ほどはみな疾みて死せりといふ。一年に千人もその溜にて死なんは不便の事なり。ことに溜には御入用も多く入侍れども行とどきがたし。寄場てふ所の溜の御入用に似るべくもなく少なけれど、もろもろの産をなして生活し、或ひは町々へ店を出し、又は在かたへ帰すてふも多く、つねに二百人計りなり。もと無宿なれば何にかなりなんとはいへど、すでにいまにては子の放蕩なるものこらしめに勘当せんとは思へども、たちどにも迷ひなんとて、町人よりねがひてこの寄場へをくものも有るなり。いまに店をもち、妻子などもちて、身持をかへし候ものいくばくともいふ計なりし。これによて御入用は減じ、無宿はをのづから少しく減ぜぬ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)