(s0806)

「異学の禁」

『□の焼藻の記』
「試学の評決は儒家へ仰渡されて、大学頭より以下柴野彦助・岡田清助・尾藤良佐等、聖堂に於て諸士の素読講釈を試みたり。されど儒家にては人物人がらはいかにもあれ、其日に当りて講釈弁書の聖教に的当したるならでは上科とせず。されば血気放蕩のやからは、不敵なる根情にまかせて、きのふまで浄瑠璃三味線に心耳をこらしたる者が、四五十日が内に、そこら講釈を聞覚えて、試学に出るやから多し。殊に去心より能き師の云事を聞覚えて、一字一句も違へず聞とりに云ふへに、儒家の評にはいつも上科にあたれり。又実学にて多年志有りて書籍にもしたしく、人がらを慎みて、然るべき勤士にも進むべき者は、おのづから己が見識も交わり、或ひは多聞に迷ふ所有りて、云所いつも儒家の評には当たらず、下等に成たり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)