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「長州藩の藩政改革」

『近世日本国民史』
「御両国の御受高を以て、年中の御入目に差引き候処、大段の御臨時これなき年柄に於ても、定法御借銀と相なりり、況んや天災吉凶の御臨時これある年に於ては、忽ち御借銀山高に相成り、已に古来これなき当節の御借銀、利且納の手段もこれなくに付、御家来中半知し、地下より重きでき仰付けられ、猶且つ出銀等をも仰付けられ候得共、当子歳御不足銀三千四百拾三貫余、更に御出当これなく、先達て以来、種々評議に及ぶといへども、未だ其の目途相立たず、誠に以て国家の御大難、この時に相迫り候。縦へ八万五千貫目余の御借銀は、容易ならざる御手段を以て、追年御納込み相成り候ても、是迄年々御借銀を以て、御通り方の流弊御改め成されずしては、後年又々御大借と相成り、恐れ多き事ながら上いか程御仁心在らせられ候ても、行末かけて、御恩沢下へ行渡らず、御家来中を始め、御国民の困窮、際限これなく、是非に及ばざる次第に立行き候。これに依り此度、御先祖様方、古来より建置かれ候御作法により、流幣の改正仰出され、御吉凶の御臨時は素より、平生の御通り方を始め、厳敷僉議仰付けられ、定法の御物成拾四万六千石、銀千四百九拾貫目を以て、御定用御 臨時共に相調へ候。量入為出の仕組仰付けられ、御家政御再興遊ばさるべく思召し立てられ候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)