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「黒田斉溥の開国論」

『幕末外国関係文書』
「嘉永六年七月十七日付
夫れ、軍に有名無名これ有り候。方今、アメリカより申上げ候書翰、内味の処は如何これ有る哉に候得共、素より同国の人民日本海岸にて大風に遇ひ候節、厚く御取扱下され度、且つ又、御近国の事に付、以来御親しく仕り度旨相願ひ候儀に付、外に害心も先づはこれ無き儀に候間、御許容これ無く戦争に及び候得ば、彼は有名の軍、日本は無名の軍に相成り、万国の聞も宜しからず、甚だ心配仕り候。(中略)
日本も、往古は異国え勝手次第に罷り越し、支那にても倭寇と唱へ大に恐れ候由、毎毎書載これ有り。其の頃は勇気顕然と相分居り申し候。昇平久しき流弊にて、如何様に仰付けられ候ても、急に振武の儀如何これ有るべき哉。急に武備盛に相成り候様思召し候はゞ、往古の如く一統へ勝手次第仰付けられ候はゞ、日本の武威世界へ輝き、万国恐服は疑ひ無き儀に御座候。其の上、一統困窮の折柄、平日倹約仕り武備厳重の旨度々仰出られ候得共、十分思召し通りに相成らず、恐入り候事共に御座候。右等の御世話も、右の通り異国えの商売一統御免仰付けられ候はゞ、日本繁昌疑ひなく、且つ又、武備厳重に相成り申し候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)