(s0828)

「江戸市中の混乱」

『側面観幕末史』
「浦賀諸家の陣屋より昼夜を分たず、注進の汗馬、海陸飛脚の往来、櫛歯を挽よりも忙はしく、江戸の大都繁華の巷も、俄に修羅の衢に変じ、万の武器調度を持運び、市中古着商ふ家には陣羽織、小袴付、蓑笠等をかけならべ、鍛冶を業とする者は、家毎に甲冑刀槍を鍛ひ、武器商ふ店には古き武器を累ねて、其の価平時に倍せり。海辺に家宅ある士民老幼婦女の立退かんとて家財雑具を持運ぶ様、さしもにひろき府下の街衢も、奔走狼狽して、錐立つべき処もなし。訛言随て沸騰し、人心恟として定まらず」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)