(s0831)

「教官カッティンディーケの記録」

『長崎海軍伝習所の日々』
「生徒は、皆々名家の子弟であるにかかわらず、彼等は常に賎しい水夫のごとく立ち働き、また船室は全部これをオランダ士官に提供するは勿論、すべての点において教官に対し礼儀を失わなかった。我々はこれらの人々と同船して、実に愉快な日を送った。皆々快活で日本語とオランダ語のチャンポンで、面白い会話を交わしたりなどした。一部の者はオランダ語を非常によく解し、練習のためお互い同士、オランダ語だけで話していた。私はこの航海によって如何に日本人が航海術に熟達したがっているかを知って驚いた。ヨーロッパでは王侯といえども、海軍士官となり、艦上生活の自由を忍ぶということは、決して珍しいことではないが、日本人、例えば榎本釜次郎氏のごとき、その元祖はえどにおいて重い役割を演じていたような家柄の人が、二年来一介の火夫、鍛冶工および機関部員として働いているというがごときは、まさに当人の勝れたる品性と、絶大なる熱心を物語る証左である」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)