(s0835)
「ハリスの通商条約要求」 |
『幕末外交関係文書』 |
「一、右蒸気船発明より、諸方の交易も、いよいよ盛んに相成り申し候。 一、右様相成り候故、西洋諸州、何れも富み候様罷成り申し候。 一、西洋各国にては、世界中一族に相成り候様いたし度き心得にこれ有り、 右は蒸気船相用ひ候故に御座候。 一、右故、遮て外と交わりを結ばざる国は、世界一統致し候に差障り候間、 取り除き候心得に御座候。 一、何れの政府にても、一統致し候儀を拒み候権はこれ有る間敷、右一統い たし候に付、二つの願ひ御座候。 一、其の一は、使節同様の事務宰相ミニストル一名アゲントを都下え置付け 候様致し度き儀にこれ有り候。 一、一方の願ひは、国々のもの勝手に商売致し候儀、相成り候様いたし度く 候。 (中略) 一、大統領の願ひは、戦争に到らず、互に敬礼を尽し、条約相結び候様いた し度しとの儀に御座候。 (中略) 一、大統領の心得にては、合衆国と堅固の条約御結び成され候はゞ、必ず外 国も右の規則と致し、御心配の儀等は、向後、決してこれ有る間敷と存じ 奉り候。 (中略) 一、私儀、日本え参り掛け、シャムえ罷り越し、条約相結び申し候。其の後、 右振合を以て、同国仏蘭西と条約相結び候。右亜墨利加・仏蘭西と条約相 結び候趣意は、兼て英吉利シャムを奪ひ候心組相見え候故、其の横領を防 ぎ候為めの儀に御座候。 一、東印度は、只今一円英吉利の所領と相成り候得共、元来は数ケ国に分れ 居り候処、何れも西洋と条約取結ばざる故、遂に英国に一統致され候。右 英国より攻められ候砌、条約相結び候与国等、助け候ものこれ無き故、容 易に攻め取られ申し候。 一、他邦と条約取結ばず、一本立の国の損なる儀、諸方において、右により 別て心付け申し候。 一、故に日本に於ても、東印度の振合を以て、得と御勘考これ有り候様存じ 奉り候」 |
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現代語訳や解説については下記を参考にしてください |
『詳説日本史史料集』(山川出版社) |
『精選日本史史料集』(第一学習社) |
『日本史重要史料集』(浜島書店) |
『詳解日本史史料集』(東京書籍) |