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「安藤・久世政権の和宮降嫁奏請」

『九条尚忠文書』
「万延元年七月付
蛮夷拒絶の儀、御沙汰の趣にては只今打払にも仕るべき様の思召哉にも伺ひ奉り候得共、右五蛮貿易の一条は一時の願立にて差免し候と申にもこれ無く、兼々言上仕り置き候通り、先年より右掛りの者共段々心配仕り、彼が願意追々取縮め、漸く今日の場合に定約相成り候処、唯今無法に打払等仕り候訳にては、仮令夷狄に候共、一昨年御猶予仰出され条約も相済み、只今手の裏を返し候様の御所置相成り候ては、名節を失し、実に神国の御義も相立ち難く、却て御国威を失せられ候次第にもこれあるべき哉。(中略)実に只今軍艦銃砲製造真最中にて、決て懈怠致し居り候儀には更にこれなく、追々衆議を尽し計策を運らし候処、当節より七八ケ年乃至十ケ年も相立候内には、是非是非応接を以て引戻し候乎、又は干戈を振ひ征討を加へ候乎、其の節の御所置方に至り候ては品々御廟算もこれ有る儀にて、前以て箇様と取極め申上げ候儀に致し難く、尤も謀略は密を以て良計となし候事にて、臨期応変の御所置にこれなくては始終の勝利全からずに付、預め、箇様と申上げ難く候得共、何れにも其の節は屹度叡慮を立せられ御安心に相成り候様の御所置に相成るべく、右凡の年限は申上げ候得共、夫迄にも万一 彼より兵端を開き候乎、又は条約に背き候乎、又は御国制を犯し候様の儀これ有るに於ては、御所置に相成り候様、一同にも精々勘考罷り在り候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)