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「幕府の期待(公武合体)」

『幕府衰亡論』
「長州の役人に長井雅楽と云へる者ありて、其の藩主を説き幕府に建議して云く、今日の急務は公武合体一和して国体の基本を立つるに在り、開鎖和戦は時の宜に随ふべし、守株膠柱の議を執るべからずと云々したり。幕閣は此の建議を見て恰も死中に一活路を得たるの思を成し、閣老評議の上にて文久二年長井雅楽を招き其の意見を聞きたるに、長井は尊王佐幕の目的を説き、先づ京都を遊説して朝廷と幕府の間を信密にし政令一途に出るの基礎を定めて以て天下に令せば、攘夷論を撲滅すること難らず、長州よく其の任に当たるべしと雄弁を振て論じたれば、幕閣は大に其の説を嘉し、然らば公武調和の任を托すべしとて長井を上京せしめ暗に其の成功を期望したり」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)