(s0871)

「上知令ー大名・豪農の困惑」

『浮世の有様』
「江戸十里四方悉く公料計に此度新になし給へるにぞ、武蔵・上総の間にて、これまで入組し諸侯の飛地、御家人の知行等悉く召上げられ、代りの地追て下し置るると
云へる事にて、未だ何れにて代地下し置るゝとも其の御沙汰なき事ゆへ、十三人の諸侯、其の数限りなき御家人衆、何れ途方にくれらるゝ事なりと云ふ。尤も諸侯といへども、忍・川越の如き堀持は其の侭にて、飛地にて陣屋の向は悉く召上られしなり。御家人衆には何れも悪敷代地を賜るか、又は御蔵米にて御渡になれる事もありもやせんと、一統に大に心労せる事なりと云ふ。
(中略)
 大坂も五里四方悉く公料に改まりぬるにぞ、摂・河・泉の間に有る処の諸侯の領地、悉く召上げられ、陣屋引払等にて騒々敷、百姓・町人の類ひ是迄聊の出銀等にて、領主の用を承り、又庄屋等何れも金銀にて苗字・帯刀せし者共、暴に其の事なりがたく、何れも平百姓となりぬる故、これまでの如く威勢振る事なりがたく、これまでこれらに這ひつくばひし者共も、心地よき事に思ひぬるぞにぞ、騒々敷中にも可笑き事多しと云ふ」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)