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「両港両都開港開市延期交渉」

『日本外交年表竝主要文書』
「英国政府、日本の執政に、現今其の国に在る逆意の者を鎮むる為め要せる時限を得せしめんが為、条約上当然の理をまげて此の大事を容允せんと思へり。然れども英国政府は大君及び其の執政に長崎・箱館・神奈川港に於て、右の条約中の取極を厳重に施行し、且外国人を擯斥する古法を廃し、なかんづく左の件件を取除くべし。
第一 千八百五十八年第八月二十六日の条約第十四箇条に基づき、商物の諸種 を日本人より外国人に売渡すに、員数価の事に付、是を拒む事。
第二 諸職人、殊に工匠・船夫・船艇傭夫・事を指南する人、及び従僕等、其 の名に拘らず是を傭ふ事に付、是を拒む事。
第三 諸大名、其の産物を市場に送り、及び其の自家の人を以て直に売るを拒 む事。
第四 運上所の役人、及び他の士人の中、賞を取る存意ありて彼是事に付拒む 事。
第五 長崎・箱館・神奈川港に於て外国人と交易する人に、身分の限度を立て、 之を許すを拒む事。
第六 日本人と外国人の間に於て大君及び執政の遵守すべき所なれば、若し此 の取極めを厳密に遵守せざる時は、英国政府、上に述たる千八百六十三年第一月一日より算したる五年の期限中、何時にても此の書付に載る港都の事付たる允諾を止め、千八百五十八年第八月二十六日の条約に在る箇条を遅延せず、尽く施行し、上に至る所の港都を英人の交易居留の為に開くべき事を、大君及び其の執政に促すの理あるべし」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)