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「松平茂昭の長州再征反対意見」

『続再夢紀事』
「慶応元年四月三十日付
今般の仰出されには、大膳父子悔悟の躰にもこれなく、其の上、容易ならざる企台聴に達し候趣にて、亦復、恩征伐として御進発仰出され候儀、如何の御次第に在らせられ候哉、計り奉り難く御座候。元来、父子の譴責を始め、始末厳重に過ぎ、一同死守の勢と相成り候ては、実に容易ならざる事柄にて、天下の御為め然るべからざるに付、父子重畳服罪の処を以て隆命相待ち罷り在り候条々は、前大納言殿より具に申し上げ置かれ候事に御座候。然る処、候等の筋は一切御取揚げもこれなく、再発の趣を以て御進発及ばされ候御儀、必ず御定□在らせらるべき御儀とは存じ奉り候得共、昨年の処は二百年来未曽有の御大義も、御威光を以て干戈に及ばす鎮静にも相成るべき姿にて、朝野とも漸く安堵に帰し候処、又々大兵を動かされ候儀は、必ず天下の乱階にて、諸大名の困窮、万民の怨磋、誠に以て一方ならざる事共にて、此の上如何なる不測の変を生ずべき哉も計り難く、恐れ乍ら、御家の御為にも相成る間敷かと恐懼に堪へず存じ奉り候」



史料
現代語訳や解説については下記を参考にしてください
『詳説日本史史料集』(山川出版社)
『精選日本史史料集』(第一学習社)
『日本史重要史料集』(浜島書店)
『詳解日本史史料集』(東京書籍)